第1章 記憶にない。  第2章 コロ。  第3章 お世話。  第4章 運命。  第5章 優しさ。


それから数年後。
私は社会人になっていた。



自宅で犬が出産したと言って、上司が6匹の子犬を連れてきた。
欲しい人に連れて帰ってもらおうということだった。

当時は今のようにペットショップで動物を売っている事は珍しく
犬と暮らしたいと思った時は ” 子犬が産まれた時には是非 ” と
誰かにお願いする、そんな時代だった。


職場はガソリンスタンドだったので、毎日たくさんの人が訪れた。
店内にダンボールを置き、いい出会いがありますようにと心を込めて
外から見えるようにメッセージを書いて貼った。

6匹のうち4匹はその日のうちに新しい家族がみつかった。
残った2匹に仮の名前をつけて面倒をみた。
” 小鉄 ” と名付けた子犬は、それから数日後に新しい家族がみつかった。


最後に残った子犬は他の5匹より体が小さく、少し弱々しく見えた。
兄弟がいなくなった大きなダンボールの隅っこで
小さく丸まっているその子犬が、とても寂しそうに見えた。

数日たってもまだ新しい家族は現れなかった。
持ち上げるとキャンと小さな声で鳴くその子犬を抱くと
とても温かく、とても軽かった。


父と話す事がもうすっかり少なくなっていた私は
その晩、父に子犬の話をした。


「うちに連れてきなさい」


父は笑顔でそう言った。
” 次のお休み ” の約束をした時と同じ気持ちになった。


小さく丸くなっているその子犬に ” ちび丸 ” と名付けた。
そして ” ちび丸 ” との生活が始まった。

ちびまる

” ちび丸 ” を連れて帰り、すぐに動物病院へ行った。
診断は ” くる病 ” だった。

兄弟が多く、ミルクをしっかりと飲めなかった事が原因だろうとの話だった。
体が小さかったのも、抱くとキャンと痛がったのも、すべてそういう事だったと学んだ。


獣医さんには定期的に診てもらった。
しばらくたっても触るとキャンと鳴く様子は変わらなかった。
腕の骨は湾曲したが、それでも一生懸命体を左右にゆすりながら歩く姿は
とても可愛く、とても愛おしかった。


” ちび丸 ” が家族になって、しばらくたったある日。
友達が紙袋を持ってやってきた。

紙袋をのぞくと、小さな子猫がこちらを見ていた。



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